TMレポート

ブログタイトルはそのままに、思いついたことを書く場所に変えました。。。

「超人X」に惹かれる

 

昨日は休みのため一日漫画を読んでしまいました。
電子版です。スマホアプリで「ジャンプ+」というのがあります。漫画村事件を受けて、公式が無料で読めるような仕組みを作ってくれました。
日本の漫画産業は本当にすごい!

 

漫画村の影響か、無料を基本にそのアプリは作られています。初めて読む分には無料で読めるのです。そこで、前からずっと気になっていた「怪獣8号」と「超人X」を読みました。

 

どちらも非常に面白かったのですが、「超人X」には単に面白いとは違った感情を持ったので記事にまとめたいと思い立ち、キーボードをたたいています。

 

「超人X」の前に、まずは「怪獣8号」の方から。
主人公の日比野カフカはおじさん、正確に言うと若者とおじさんの過渡期にいるような人物です。夢をあきらめきれない若者としての自分と、現実を知りはじめたおじさんとしてのカフカの葛藤が描かれます。しかし、登場キャラクターが多く、他のキャラクターは主人公よりも一回りくらい若くて、かれらの心理描写も描かれるため、どうしても一人一人の心理描写が分散してしまう印象でした。

話の構成や、そもそもの画力や設定が高度で、主人公に感情移入したというよりは、もっとこの人の絵を見たい!という感じで読み進めていました。

 

これが最近の漫画を読んでいるときの感情、エンターテイメントとして最高に面白い、という感じです。

 

ところが「超人X」は、いつもの感情とは違っていました。主人公の黒原トキオにものすごく惹かれたのです。主人公の心理描写が緻密で、人間的には弱い彼が今後どうなっていくのかと、ぐいっと引き込まれてしまいました。自分の弱い部分と向き合い、思い悩んでいる彼に自分を重ねたのかもしれません。そんな理由から、絵柄や設定的には「怪獣8号」の方が好みだったのですが、「超人X」のトキオが気になって仕方ありません。

 

突然ですが、僕は昔漫画家になることにあこがれていました。つらい日常生活のユートピアという感じで、自分が作り込んだ設定の中に逃げ込んでいました。もしまた漫画を描くとなったら、おもいっきりフィクションに振り切りつつ、今もなお思い悩み続けている自分を主人公の性格に思いっきり反映させたいなと「超人X」を読んで思いました。つまり、また漫画を描いてみたくなったのです。

 

話は少し飛んでしまいますが、臨床心理の権威に河合隼雄さんという方がいらっしゃいます。彼は京都大学の教授もされていましたが、その最終講義で自分を物語れることの重要性を話されていました。自分という人間を物語にできるということは、人生に意味づけできたということであると。複雑な自分の心理や周囲の環境に一つの意味を持たせることができたと。カウンセラー(臨床心理士)という仕事は、悩みを抱えた方が自分を物語れるように伴走することではないかと話していました。

 

河合隼雄 - 京大最終講義 コンステレーションについて - YouTube

 

 

漫画に限らず、小説でも、ダンスでも、音楽でも、また違った解釈で自分を物語る、表現するということに、人間としての面白さや愉しさが詰まっているのではないかと、漫画を読んで搔き立てられた自己表現欲求をそんな風に解釈してみました。